コンテンツSEOの次に学ぶスキルについてのまとめ
こんにちは!株式会社エイチームライフデザインでリードマーケター(主にコンテンツマーケ/SEO)をしている中澤 悠生です。
社内のコンテンツマーケ・SEO担当メンバーと1on1をしていると、「コンテンツの次は、どんなスキルを身に着けていくのが良いですか?」という相談を受けることがよくあります。
そこで本記事では、これまでコンテンツSEOを主な仕事にしてきた方に向けて、私が考える次に繋がりやすいスキルの方向性をまとめています。
※私がスペシャリスト志向なので、本記事もスペシャリスト向けの内容です
いくつかのカテゴリに分けて紹介していますが、それぞれのスキルはきれいに縦に別れているわけではなく、お互いが補完関係になっています。
ですので、ひとつの分野にこだわらずに取り入れていけると良いかなと思っています。
テクニカルSEOへと領域を広げる
これまで記事コンテンツを中心にSEOを行われている方であれば、「SEOスキル」と聞いたときにイメージするのは「ニーズの把握」「ペルソナ設計」「構成案の作成」「リライト」など、コンテンツに関わる知識かと思います。
しかしECサイトやポータルサイトなど、いわゆるデータベース系のサイトのサイトでは、「サイト構造」「クロール最適化」「Core Web Vitals改善」など、テクニカルSEOと呼ばれる知識の重要度が高くなります。
また近年ではReactやNext.jsといったモダンなフレームワークを用いたサイトも増えており、これらを用いたサイトでSEOを行うにあたっては、JavaScript SEOと呼ばれる領域の知識も必要になってきます。
内部リンクが動的に生成されていて認識されてないとか、
404ページなのにステータスコードは200だった、みたいなことがよくあります。。
学習の方法・方向性
テクニカルSEOのなかでもかなり広い領域があるので、まずはどの領域から学んでいくのかを決めていきます。
ご自身が興味を持てる領域と、業務や担当サイトで活かせそうな領域の重なるスキルから身につけていくと良いかなと思います。
サイト構造やクロール最適化など、基本的なテクニカルSEO
書籍やSEOコンサルティング会社様のブログなどから、テクニカルSEOの基礎知識をインプットする
他社のサイトを分析して、インプットした内容がどのように使われいるかの感覚を養う
サイト分析の方法については過去に記事を執筆しているので、こちらも参考にしていただけますと幸いです
リンク獲得のための施策
Ahrefsなどを活用して、世の中のサイトがどのようなリンクを獲得しているかを調査する
調査結果を抽象化して、担当サイトでどのように応用できるかを考える
海外のSEOコンサルティング会社やツール会社のコラムでは、詳しい手法を紹介しているケースも多いので、それらを読むことでも気づきを得られるかと思います。
構造化データや動的ページの制御など、応用的なテクニカルSEO
Google検索セントラルの「構造化データとリッチリザルトの種類」を読む
リッチリザルトに影響しない構造化データは「Schema.org」を読む
動的ページの制御は上位サイトの構造を分析して、実サイトでの事例を学ぶ
WEBサイトの構造を学んで、実サイトでの事例と感覚を紐付ける
Core Web Vitals改善
書籍やネット上の情報などから、基礎的な知識をインプットする
ただし基礎知識が通用しないケースが非常に多いため、実際のサイトを改善するほうが学びが大きい
エンジニア、デザイナーと協力するも良し、自分で作ったサイトで改善するも良し
JavaScript SEOなど、特定のサイトで活きる知識
実際にモダンなフレームワークを使ったサイトのSEO担当にならないと学ぶのは難しいかも…?
Google検索セントラルの「Google が JavaScript を処理する仕組み」を理解する
あとは「レンダリング」とか「CSR/SSR/SSG」などの用語だけでも知っておきたいところ
自身の名前を売る
独自の知見や気づき、アイデアなどをベースにして、「◯◯さんだからこそ発信できるコンテンツがある」「◯◯さんの書く文章が読みたい」と認識されるようになるイメージです。
多くの場合はそのコンテンツ自体がビッグキーワードで上がるわけではないですが、ファンを獲得することでSNSからの流入を得られたり、拡散力を持てたり、自分自身の名前で仕事が取れるようになることが強みかと思います。
また名前が売れることによって自分自身の権威性が高まり、SEOにポジティブな影響を与えるケースもあります。
学習の方法・方向性
自分自身の強みを明確にする
とはいえ明確な強みなんて分からないことが普通なので、まずは興味を持っているジャンルを選ぶくらいでOK
自分なりの意見・結論をもつ習慣をつける
日々の気づきを深掘って考える癖を付ける
人に伝えられるように、論理的に考えを整理する
著名な人のコンテンツやコンテンツに対する反応を分析して、抽象化する
その人のコンテンツによる気づきや面白さは、どのような感情・背景から得られるのか
どのようなリアクションを得られているのか
単純なマネをするのではなく、抽象的にとらえて自分自身に落とし込む
アウトプットする
自分の意見・結論・知見などを、SNSやブログなどでアウトプットする
統計・分析スキルを身につける
マーケティングの仕事をしていると日々膨大なデータに触れているかと思いますが、これらのデータを活用するためのスキルです。
データを読み解いて正しい意思決定をするためのスキル
データを視覚的に表現するスキル
必要なデータ集めたり、整形したりするスキル
コンテンツマーケやSEOの領域に限らず、幅広い職能で活きるスキルなので、覚えておいて損はないでしょう。
コンテンツSEOの人でここに強みがある人は少数派(たぶん)なので、コンテンツSEO×統計分析という掛け合わせが作れれば、自身の強みにできるかと思います。
学習の方法・方向性
それぞれの環境に寄りますが、データを整形・読み解くスキル → 視覚的に整理するスキル → データを集めるスキル、という順番が学びやすいかなと思います。
データを整形・読み解くスキル
統計学的なアプローチを学ぶ
PythonやRによる分析スキルを身につける
SQLなどによるデータ抽出スキルを身につける
視覚的に整理するスキル
TableauやLooker Studioなど、BIツールの使い方を学ぶ
PythonやRを使った視覚化を学ぶ
データを集めるスキル
GA4やGTMの応用的な使い方を学ぶ
BigQueryなどを用いた大規模データの扱い方、データベースの設計を学ぶ
記事コンテンツのパフォーマンス分析をするにあたっては、以下の記事も参考になさってください。
プログラミングスキルを身につける
「プログラミング」という言葉がビッグワード過ぎる気がしますが、コンテンツSEOからのステップアップであれば、業務効率化や分析スキルの強化が主な目的になります。
自動化など、業務フローの改善
Excelでは対応できないくらいの大量データの処理・分析
DB等からのデータ抽出
(プログラミングとは違いますが)ノーコードツールの活用
などなど、用途は多岐にわたります。テクニカルSEO領域との親和性が高いことも特徴です。
個人的には、PythonもしくはJavaScriptがコンテンツマーケ・SEOの仕事と相性が良いかと思っています。
学習の方法・方向性
書籍やオンライン上の学習サイトを使って基本的な文法を理解する
自身の業務で活かせる方法を考えてコードを書いてみる
Pythonならデータ分析やスクレイピング、JavaScriptならブックマークレットとかChrome拡張機能の自作が楽しいのでおすすめ
ChatGPTを活用する際は、コピペするだけでなく内容を理解するように意識する
ディレクションスキルを身につける
施策の取捨選択やリソース調整などを、関係者を巻き込みながら円滑に施策を進めるためのスキルです。
どの職能や組織でも使えるリソースは限られているので、その限られたリソースを有効に活用するためにディメンションスキルはとても重要となります。
学習の方向性
ご自身の状況によって優先度が変わります。
編集の仕事をしている場合
外部ライターさんのディレクションスキル
図解ディレクションのスキル
外部ライターさんのディレクションのコツについて、弊社の小野寺が執筆した記事がありますので、こちらも参考になさってください。
開発メンバーとのやり取りが多い場合
プロジェクトマネジメントを学ぶ
施策の取捨選択、優先度決めの考え方を学ぶ
開発まわりの知識を学ぶ
社内調整のスキル
SNS運用スキルを身につける
SNS運用スキルも非常に領域が広くなってしまいますが、「コンテンツSEOの次に学ぶ」という文脈であれば、以下のあたりが多いかなと思います。
プロダクトのブランディングのための運用
情報発信メディア的な運用
自分自身のブランディング
それぞれの目的によって取るべきアクションが異なるので、ご自身の担当業務であったり、将来のキャリアにポジティブな影響が出る領域がどれなのかであったりを検討いただけると良いかと思います。
学習の方法・方向性
ブランディングに関わる知識を身につける
SNSから事業の売上につなげるための戦略を考えるスキルを身につける
ディレクションスキルを身につける
SNSのアルゴリズムを学ぶ
これからSNSスキルを身に着けていきたいと考えている方は、以下も参考になさってください。
CROスキルを身につける
CROとは「Conversion Rate Optimization」のことで、WEBサイト上でのコンバージョン率を高めることを指します。
営利企業である以上「SEOで順位を上げればOK」ということはなく、得た流入を事業の売上・利益に繋げなければなりません。
ヒートマップ分析や各指標をもとに仮説を立てて、ABテスト等でPDCAを回すスキルであったり、データを読み解くスキルであったりと幅広い能力を求められます。
学習の方法・方向性
Clarityなどのヒートマップツールの使い方を学ぶ
GA4やSearch Consoleなど分析ツールの使い方を学ぶ
ABテストツールの使い方を学ぶ
仮説を立てるチカラを身につける
基本的なHTML/CSS/JavaScriptを学ぶ
書籍やWEBサイトなどから、UIデザインスキルを身につける
UI/UXスキルを身につける
コンテンツSEOからのステップアップであれば「サイトに訪れるユーザーの満足度を高めるためのスキル」のように考えていただけると良いかと思います。
一般的なUI/UXとは意味が異なるかと思いますが、ご容赦ください。。
どうすればユーザーが最適な答えにたどり着けるのか
どうすればストレスなくページを閲覧し、情報を理解できるのか
信頼・支持されるサイトになるためには何が必要なのか
どうすればユーザーの残念な体験を避けられるか
ユーザーにはどのような背景・感情があるのか
などを把握したうえで、担当サイトやプロダクトを改善していくイメージです。CROやブランディング、ナーチャリングとも繋がっている領域ですね。
学習の方法・方向性
書籍やWEBサイトなどから、UIデザインスキルを身につける
Figmaなどのデザインツールの使い方を学ぶ
ユーザーインタビューやアンケートなど、ニーズ調査のスキルを身につける
自分でサービス設計を行ってみる
あわよくばサービスをリリースして反応を見るところまで実行する
ナーチャリングスキルを身につける
LPOがサイトに流入したタイミングでの売上貢献であることに対して、ナーチャリングは見込み顧客とコミュニケーションを取って、将来の売上につな
げるイメージです。
メールマーケティングやSNSの活用など幅広い手法があり、ブランディングにも繋がる領域です。
学習の方法・方向性
書籍やWEBサイトから、どのような手法があるのかを学ぶ
自身の担当事業のユーザーと親和性の高い手法を選ぶ
選んだ手法について深掘って学ぶ
コピーライティング、コンテンツ作成のスキルを身につける
リード獲得の手法を学ぶ
ブランディングスキルを身につける
ここまでビッグワードを並べてきた本記事ですが、そのなかでも恐らくダントツでビッグワードであり、幅広い領域であるのがブランディングです。
ユーザーのなかでブランドイメージが形成されていれば、ユーザーが欲したタイミングで想起される可能性が高くなり、「自社サービスが選ばれる理由」に繋がります。
どのようなブランドイメージを作りたいのか
ブランドの価値は何なのか
そのためにはどのようなデザイン、コミュニケーションが必要なのか
どのような媒体でユーザーに接触するのか
業界でのポジションをどうするのか
などを設計したうえで、戦術に落とし込んでいきます。
SEOをされている方であれば、Search Generative Experienceなどによる
自然検索のCTR減少が心配な方も多いかと思いますが、
指名検索が強いサイトになればなるほど、これらの検索エンジンの動向に左右される可能性が下がります。
学習の方法・方向性
書籍などからブランディングの基礎知識を学ぶ
実際の事例に当てはめて、分析する
可能であればブランディング施策を行える企業で働く
私自身も勉強中なので、良い学習方法があればご教示いただけますと幸いです…!
弊社が運営しているハナユメ公式Instagramの役割や、運営していくうえで大切にしてることなどは以下の記事で紹介しています。
AIの活用スキルを身につける
まだまだ未知数な領域ですが、これからの時代では必須のスキルになるでしょう。ジェネレーティブAIが話題ですが、機械学習や画像認識などもまだまだ活躍の機会が多いかと思います。
学習の方法・方向性
ChatGPTやStable DiffusionなどのジェネレーティブAIに触れる
X(旧Twitter)やnoteなどでAIの応用的な使い方を学び自身でも試す
機械学習はPythonを学ぶ
ChatGPTはスプレッドシート上での活用も便利ですので、詳しく知りたい方は以下もご覧ください。
自身のEATを強化する
記事前半で紹介していた「自身の名前を売る」に近いですが、よりSEOを意識した名前の売り方をするイメージです。
資格を取る
業界での実務やセミナー等を行う
書籍を出版する
メディアに寄稿する
SNSでフォロワーを獲得する
などを通じて、業界内で自分自分の存在感を出していくと考えるとイメージしやすいかと思います。
人に教えるスキル・伝えるスキルを身につける
どれだけ強力なスキルを身に着けたとしても、自分ひとりでできることは限られます。そのため、自身で身につけたスキルを周囲に教えられるようになることが重要です。
自身が身につけたスキルや専門性を周囲に伝えることでチーム・組織全体のレベルアップに繋がり、より大きな成果を得ることに繋がるでしょう。組織としても、あなたが他メンバーのレベルを引き上げてくれる人材だと認識すれば、自ずと評価も付いてくるはずです。
また、ラーニングピラミッドでは「 他の人に教える /すぐに使用する」による学習定着率がもっとも高いとされているため、人に教えるプロセスを経ることによって、より自身のなかにスキルが定着しやすくなります。
個人的には人に教える機会が増えると、人前で話すことへの慣れが生まれることもメリットかなと思っています。
さいごに
いろいろ書いてあるので、どれから始めようか迷ってしまうかと思いますが、実際に行動してみないと自身に合っているものは分からないものです。
「これちょっと楽しそう」とか「出来ないかも知れないけど、やってみようかな」と思える領域に触れてみて、相性が良さそうなら続ければ良いですし、相性が悪そうなら違う領域に進んでみると良いかと思います。
あれこれ手を出してみた上で、「自分が興味を持てる × やってて楽しい × 業務に活用できる」領域を見つけられるのが理想ですね。
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